本稿では、小説の中に描かれた職場や仕事を紹介し、人事とは何かを探ってみたい。もちろん、小説はフィクションである。しかし、優れた文化的コンテンツの中には、現実の社会を鋭く切り取り、働く人々たちの潜在意識を顕在化させてくれる作品がある。人事担当者として専門知識やスキルを身に付けるだけならば、小説など読まずに、ビジネス書を読めばよいのだろう。ただし、最近のビジネス書の中にも、一見ビジネスとは遠いアートや文化が紹介されることもある。働く人たちの感覚や感情に近づくための教養力が求められているとは言えまいか。小説を読みながら人事について考える時間もきっと必要だと思うのである。

法政大学キャリアデザイン学部教授 梅崎 修 氏

執筆者:法政大学キャリアデザイン学部教授 梅崎 修 氏
大阪大学経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)
専門領域は労働経済学、教育経済学、人事組織経済学
近刊は『大学生の内定獲得: 就活支援・家族・きょうだい・地元をめぐって』(法政大学出版局)

◆死と隣り合わせのリーダーシップ

◆「中間」管理職論

◆被害者としての管理職